秋田市の高齢者施設、高清水寿光園に付属する地域包括支援センター・居宅介護事業所の設計監理業務。
秋田杉の新たな活用法として、一般に流通する規格寸法材である105o×105oの4m材を、ボルトやナット等の鉄材で繋ぎ合せた「組立て梁」により大空間を構成した計画です。
一般的に、屋根を支える「梁」は、米松など強度に優位性が高い外国産材が用いられ、秋田杉の活用は限られて います。強度に劣る杉材のデメリットを構造的な工夫で克服する事で、地場産木材の利用可能性を拡げるモデルとなる実験的プロジェクトとして、本事業は秋田県より木材関連補助金を受けて進められました。「組立て梁」のほか、材を2本重ねる「合わせ梁」など、古くからの地域技術も発展的に応用した本計画が、材料を外国や他県に頼るこれまでの建築手法から、より地域経済に
貢献する「地産地消」の建物づくりへのシフトを促す事例となれば幸いです。
これからは地方の時代、気候風土や環境に根差した建築は暮らしを豊かにします。材料と知恵、そして地域技術を結集した「あきたオリジナル」が街に拡がって行く事に期待します。
写真:シブヤスタジオ